保育士はなぜ人手不足に陥ってしまうのか?

保育士は万年人手不足で、最近はとうとう潜在保育士(※保育士資格を有しているのに保育士として働かない人)に保育士業界へと戻ってもらおうと、賃金を上げる署名や、処遇の改善を厚生労働省へ訴える運動も活発になっています。

上記でも少し触れた、保育士の過酷な労働環境や、それを取り巻く様々な事が保育士を苛んで人手不足を引き起こしているのです。

今回は何故保育士が人手不足に陥ってしまうのかを解説していきます。

労働時間が長い

ほとんどの保育園には、規定の残業時間があります。それは、「これまでしか残業しちゃだめですよ」という規定ではなく、「この時間までは残業代を出すけどそれ以上は出しませんよ」というラインなのです。

しかも、そのラインに到達していなくても、保育園側はケチって残業代を出さない所もあります。

出勤日にハンコを押すタイプの園では、どれだけ働いたかは記録されないので残業させ放題という横暴な考えがあります。

また、不正出来ないタイムカード式の園では、正規の勤務時間で一旦タイムカードを切り、その後残業を始めるなどの「サービス残業」が横行しています。

私の働いていた施設や園ではハンコ式の所が多く、残業も自分達で時間を記載しなければならないパターンでした。

園側から、残業を付けても良い日だけ「今日は残業を1時間つけていいよ」や、4時間残業した際に1時間だけ園側が勝手につけてくれていた事もありました。

しかし、どれだけ残業をして規定ラインを越えても、規定ライン一杯の額を貰った事はありませんでした。

結局働いた残業時間だけで毎日平均2時間×24日間(※行事などの前日は平気で5時間を超えていましたので確実にそれ以上ですが)月に平均48時間のサービス残業を強いられていました。

また、自宅でも壁面を製作したり、月案の下書きを考えたりはしていたので、結局自宅の労働時間も含めたら恐ろしい時間になると思います。

拘束時間・労働時間が長すぎる割にその対価が出ない、これが深刻な保育士離れの原因となっています。

人間関係が激しい

保育士は勤めている内に、自分が良いと感じる保育観や指導方法を持つようになります。

一応保育園では保育指針や保育理念に沿うようにと保育士に指導が入りますが、その理念を守らずに、自分の保育観こそ正しいと思って従わない人も中にはいます。

いくら指針がある保育園でも、保育士全員が共通意識を持つ事の難しさが分かってもらえたと思います。

この保育観や自分の理念に反する行動を取る保育士と衝突し、自然と派閥が出来て人間関係がぎすぎすするのです。

施設なんて更に凄惨です。施設には保育理念や保育指針を決めていない所、ざっくりとしか提示していない所が多いので、更に自分の保育を広めようというぶつかり合いが激しくなります。

また、施設には児童指導員だけではなく、他の役職がいる場合があります。

肢体不自由児施設や重度心身障害児施設では、児童指導員、心理判定員、看護師、医師、介護士、清掃、リハビリと更に部門が細かく別れていきます。

部門に分かれると自然とその部門で固まるようになり、部門同士でぶつかる事も出てきます。

そういったぶつかり合いに疲弊し、人間関係の末に辞職を選ぶ保育士も少なくはありません。

施設でも大手の所はそうした部門対部門の争いもあるので、少人数制の施設の方が争い事は少なく、人間関係は穏やかに過ごせると思います。

仕事量が多い

保育士の業務はとにかく膨大です。

基本的に全員平等がモットーなので、制作や設定保育は常に30人分がセットとなります。

ですから、例えば製作で写真立てを作ろうと思ったら、その骨組みを30人分用意しなければなりません。

幼児クラスであれば鋏で切るのを子ども達に任せる事も出来ますが、乳児クラスとなるとそうはいきません。

乳児クラスはパート職員で大多数が構成されているので、結局製作を持ち帰りで行うのは23人の担任です。

仕事量の負担も大きく、その割に家での持ち帰りの仕事は評価されなかったり、設定保育自体にダメ出しを喰らう事も多々あります。

こういった割に合わない事が積み重なり、だんだんと保育士のやり甲斐を見いだせない事から辞職していく職員が多いのです。

何より大変なのは、月案です。月案とは、クラス全員の子ども達のその月の様子、次の月は何を目標とするのか、その目標に対して保育士はどんな働きかけを行うのかを書くものです。

これが地味に大変で、その月に子どもがどんな発達を見せたのか、気になる箇所はどこだったかなど、具体的に書いて目標を立てなければいけないので時間がかかります。

私はどれだけ一生懸命書いても、月の休みを4日間丸々潰していました。

月案は監査でも見られますし、子ども達の重要な成長の証なので、主任からは何度も描き直しを命じられます。

そういった仕事量の多さに嫌気がさす保育士も少なくはないのです。

まとめ

保育士が辞職を決めるのには、背後に過酷な労働環境や激しい人間関係が潜んでいるのです。

しかも、それがなかなか改善されない為に、保育士は転職活動を繰り返し、保育園側も1年未満で前園を辞めていても何も突っ込む事なく雇ってくれるのです。

労働環境が改善され、持ち帰りの仕事も少なくなる、または園で保育士の仕事を出来る時間を作るなどの工夫がなされれば、この人手不足も解消されていくと思います。

待機児童が増え続ける中で、保育士の人材確保は重要な課題となっています。

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